キノコがレザーに?サスティナブルなレザーに世界が注目2021.06.16
世界はいま、消費社会から持続可能な社会へと変革しています。サスティナブルをブランドコンセプトに有名高級ブランドや大手スポーツブランドが様々な挑戦を始めています。そんなニューノーマルに生まれた新たな素材、マッシュルームレザーとはいったい!?
今まさに、ファッション業界で話題となっているマッシュルームレザー。文字通りキノコの菌から作られる人工レザーです。
アメリカ、カリフォルニアで、ニューノーマルな次世代素材の開発をしているスタートアップ企業Bolt Threadsはキノコの菌から石油由来に頼らない新たなフェイクレザーのキノコレザーを開発しました。
マッシュルームレザーとは?
マッシュルームレザー、その製造方法は、まずシートに植え付けた胞子におが屑や有機物を与え、そして湿度や温度を調節した室内で育成させます。そうして出来上がった菌糸体シートを染色するとレザーのような素材ができあがるとのこと。この菌糸体の生産は、綿生産に使用される水の半分の量で済み、動物性食品はもちろん不使用です。生産過程で発生してしまった不要物は、堆肥として菌糸体の培養に使用し環境への配慮を徹底しています。
マッシュルームレザーに世界が注目
キノコの菌から作られるこの人工レザー『マッシュルームレザー』の開発を各ブランドで加速しています。サステイナブルをいち早く打ち出した「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」や「アディダス(ADIDAS)」「lululemon」などのブランド製品に2021年中に採用予定と表明しています。ちなみに、馬具の革製品から始まった高級革ブランドの「エルメス(HERMES)」も2021年にはマッシュルームレザーの新作を発表予定とのこと。時代の変化に驚きます。
レザーとビーガンレザーの真実
このマッシュルームレザーは、キノコ類の菌を培養させて生産するため再生可能(サスティナブル)で、動物を犠牲にすることはありません。しかし、革関係の事業者に話を聞くと、そもそも革製品のために牛を殺すことはまずないと。牛以外のレザー、クロコダイル(ワニ)などはわかりませんが、牛の場合は、食用で食べられる牛の革を使用しています。無駄な殺生ではなく、命を可能な限り大切に扱っている気もします。日本では、クジラ漁があったころ、そのクジラのすべてを活用していました。むしろ、欧米のほうが需要のある部分のみを使用し、廃棄していました。もともと『もったいない』精神が生まれた日本では、命を殺めて頂くものは、すべて余すところなく活用する文化が根付いているのです。牛の肉だけを食べて、革を捨てるのは違います。であれは、本当にビーガン(菜食主義)になるか、です。
本質を見抜く目
ちなみに、割りばしも木材の製材工程で発生する廃機材から基本出来ていると聞いたことがあります。無駄をなくし再利用しているのに、割りばしはエコではないとなってしまっているのは、少々疑問です。
マッシュルームレザーには大いに期待したいところですが、それは革製品の代用ではなく、石油由来の樹脂製のフェイクレザーの代わりになればと、筆者は考えます。
文:RIRISEA
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文:RIRISEA
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