ニューノーマルにおけるデザイン思考と新たな波DXのハイブリットとは?2021.06.01
デザインとは何か?『デザイン思考』が再注目される中、そこにクロスオーバーする『デジタルトランスフォーメーション(DX)』の波。ニューノーマルにおけるデザインとはどんなものなのでしょうか?
デザイン会社で働く私の意見としては、デザインのスタートには『要求か欲求』が必要であると考えます。
それは、己の中から湧き上がる社会に必要なものをデザインしたいという欲求であり、悩める企業やクライアントの課題解決の要求であるということです。そしてそのどちらもが社会や誰かに対してのアンサーであるべきものです。
デザインの必要性
誰もが必要とせず、自らの自己満足だけで作り出されるものはデザインとは言えず、何かしらの問題をデザインの力で解決するものを指すと筆者は考えています。
ですので、デザイナーは、あらゆる問題や課題を洗い出し、それを解決できるビジュアルや表現、コンセプトを詰めていきます。乱暴な言い方をしてしまえば、『問題を解決できないものはデザインとは言えない』とまで私は思います。
オシャレなデザインは、オシャレなデザインである必要があり、
シンプルなデザインはシンプルにすることで既存商品の課題や問題を解決する必要があります。
デザイン思考とは?
そして、デザインに取り掛かる前に重要視しているのが、5W1Hの思考法です。
これは、皆さんもご存知、英語の
When(いつ)
Where(どこで)
Who(誰が)
What(何を)
Why(なぜ)したのか?
How(どのように)
のことです。
私の考えるデザイン思考は、『デザインの感性』にクロスオーバーさせる『デザインに取り掛かる際のロジカルな思考』です。どちらも必要不可欠でどちらも重要なものです。
そのデザインが、『なぜ必要で、何が課題で、いつ、どこで、誰のために、どのような課題を解決してくれるものなのか』、そこにデザインの感性でアンサーを見つける作業です。
また、これには特定のゴールはありません。
無限の中から最善を見つける旅
そのアンサーは世の中に無限に存在し、デザイナーはその都度、限りなくあるアンサーの中での最善を探す膨大な作業に取り掛かります。まるで思いつきのようなそのアイデアも、恐ろしい数のアイデアの中から、手繰り寄せて導き出したアイデアなのです。
その作業で生まれる思考をデザイン的思考というのであれば、確かにデザインに限らず活用は可能です。
どんなビジネスもデザインの創作作業と同じように決まったゴールはなく、その時の最善を目指します。その最善を目指す際に、5W1H的思考で取り組み、物事の優先順位を決め、取捨選択をし導き出します。
デザイン思考では、たくさんの情報や要求の中での優先順位を明確化しなければなりません。
すべてを同率の扱いにしてしまっては、そのすべてが逆に何一つ引き立ちません。
企業やクライアントの要求は、すべてを盛り込んですべてを同じように扱って打ち出したいというものが多くあります。
そこで、何のためにそれが重要なのか、という初動的なコンセプトをしっかり見つめ直し、商談やプレゼンに臨むことが重要ということになります。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)の波
トランスフォーメーションがどうしてもトランスフォーマーと関連付いてしまう筆者の思考回路。世間的にはそれが理由でDXと略していることにしているんじゃないかとさえ思います。
そもそも、デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、スウェーデンの大学教授が2004年頃に提唱した概念です。『デジタル技術が浸透することで、人間の生活のあらゆる面で引き起こす、あるいは良い影響を与える変化』という概念です。デジタルの力でビジネスやライフスタイル、社会、環境をより良くしようということです。
特にビジネスシーンで使われる場合は、『ビジネスの競争優位性を確立する』という観点のもと、企業がデジタル社会に対応するため、AIやIoT、BIGDATEなどのデジタル技術を駆使して、ビジネスモデルやワークスタイルを変革する取り組みとして使われています。
わかりやすくいうと、例えば、
・請求書を郵送から、デジタルデータに切り替え、デジタルで管理する。
・契約書を電子契約書にしデータ管理及び印紙代などの経費の削減につなげる。
・受付をタッチパネルにし、出退勤も紙のカードからIC認証に変更する。
・CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)を導入して受注後の顧客データをデータベース化し顧客との関係を向上させる。
などは、かなり初歩的な取り組みではありますが、DXの基本的な取り組みでもあります。
経済産業省のガイドラインでは、
『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。』とまとめられています。
デザイン志向とDXのハイブリッド
デジタルの力で、業務改善やビジネスモデルをより良いものに変革させるDXの波に、デザイン思考をクロスオーバーさせることが出来れば、より素晴らしい社会に一歩近づけるのではと筆者は思います。それは、デザイン思考のアウトプットがデジタルトランスフォーメーションされ、先に述べたIoTやAIに関連付けられるアンサーとして導き出されることです。ビジネスや業務、日々の生活や日常に潜む問題や課題を、デザイン、そしてデザイン思考で読み解き、DXの力で解決していく。これこそが、ニューノーマルで時代を引っ張る新しいクリエイティブのあり方だと思います。
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文:RIRISEA
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