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近未来を体験できる「森美術館」がSFすぎる!!アート

投稿日:2021.03.08
 更新日:2021.04.08
アート

六本木の森美術館で開催されていた、まるでSFが現実になったかのような最先端技術×アート展覧会『未来と芸術展』には、新時代の行く末を示すヒントがたくさん詰まっていました!!

森美術館の展覧会では、近未来の都市、環境問題、社会や人間のあり方などを考えることができます。

AI、バイオ技術、ロボット工学など最先端のテクノロジーや、それらの影響を受けたアート、デザイン、建築を通し、豊かさや生命について考察するきっかけを得られるものが多数出展されていました。

残念ながら、この展覧会はすでに終わってしまっているのですが、そのコンセプトや作品が素晴らしかったので今回紹介させていただこうと思います。

館長の南條史生氏がニューノーマルを可視化してくれる!?

2006年に森美術館館長に就任した南條史生氏はこう語りました

「このままAIやロボット技術が進化を続けると、私たち人間は労働から解放され、自由を謳歌するバラ色の未来が待っているかもしれません。一方で、それらのテクノロジーが人間の脳を超える“シンギュラリティ(AIが発達し、人間の知性を超えることで人間の生活に大きな変化が起こるという概念)”に到達して、人間が支配される未来像を提示する言説も存在します。われわれは、どんな倫理観を持って最先端のテクノロジーと向き合うべきなのか? AIに限らず、その判断を誤ると、人間にとって非常に悲劇的な未来が待っているかもしれません。今回は、そんなことを考えるきっかけとなるような展覧会を企画しました」

南條館長はこれまで一つの主題を掘り下げた「医学と芸術展」や「宇宙と芸術展」をはじめ、都市や建築の新旧を展示する「メタボリズムの未来都市展」や「建築の日本展」など、独自の展覧会を開催してきました。

また、2016年には日本のアートシーンの国際化に貢献したことが評価されてフランスの芸術文化勲章「オフィシエ」を受章されているすごい方なのです!!
しかし、残念ながら2019年12月末日をもって館長を退任されました。

南條館長が開催した展覧会はどれも時代の最先端の技術をアートに応用しており、近未来の世界を描いた作品が多数展示されております。

僕は普段美術館に行かない人間なのですが、最近ちょうど美術館に行く機会がありました。
非日常的な経験をすることができ、普段仕事に追われて疲れている人や何かに悩んでいる人は気分転換になるのでぜひ美術館に足を運んでほしいと感じました。

それぞれのコンセプトを感じとれる

『未来と芸術展』では展示されている作品にそれそれコンセプトがありました。
大きく3つに分けることができます。

ネオ・メタボリズム

近未来を体験できる「森美術館」がSFすぎる!!
ビャルケ・インゲルス・グループ《オーシャニクス・シティ》2019年

「メタボリズム」は新陳代謝を意味する言葉ですが、建築の分野でもよく使われます。人口の増減や用途の変化に応じて、建築や都市も有機的に変化するべき、との理念があるのです。

メタボリズムは1960年代の建築運動で、当時の技術では十分に実現できませんでした。今日ではITやバイオテクノロジーの発達により、メタボリズムの発想に基づく建築や都市が実現されつつあります。

最新のテクノロジーを用い、自然と共生し新陳代謝する建築を、本展では「ネオ・メタボリズム」と呼んでいます。興味深いのは、地上だけでなく海上や空中にも都市が広がりつつあることではないでしょうか。

バイオテクノロジー

近未来を体験できる「森美術館」がSFすぎる!!
ディムート・シュトレーベ《シュガーベイブ》

後期印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホが、自分の左耳を切り落としたことは有名な話です。その左耳を、父系・母系のDNAを用いて再現した「タンパク質による彫刻」を、本展で見ることができます。

生前の耳の形は自画像の画像処理によって割り出され、3Dバイオプリンターやポリマー製の培養基材によって出力されています。この作品はまさしくバイオテクノロジーと画像処理技術によって、故人の身体の一部を再現した、と言い換えることができるでしょう。

クローン技術を用いた動物の複製は、一部の国では既に行われています。
しかし、命の複製に疑問を抱く第三者も多いでしょう。

このコンセプトで、人間の手で生命を編集、改ざんしてしまうことへの問いを受け取ることができました。
確かにクローン技術を使うことによって畜産分野における生産性や品質の向上に役立ったり、絶滅危惧種などの保護に役立つケースもあります。

生命という尊いものは人間という一生命の手で扱うにはあまりにも大きすぎるのではないかと考えさせられます。

インターネット

近未来を体験できる「森美術館」がSFすぎる!!
マイク・タイカ《私たちと彼ら》

《私たちと彼ら》では、AIによるツイートが出力されています。天井に取り付けられた小型プリンターから、リアルタイムでツイートが出力される作品です。

このAIは、アメリカの政治に関するツイートを自動生成するものです。大統領選挙の際に問題となった、20万件以上のツイートを機械学習するなどして、制作されました。

アカウントの持ち主を表す写真も、インターネット上の顔写真をAIに読み込ませ、自動生成した架空の人物のものです。すなわち、「AIが人間になりすましてツイッターを使っている」と言い換えられるのではないでしょうか。

既に私たちの生活はインターネット無しには成り立たないところまで来ています。
しかし、これ以上、インターネットへの依存度を高めて良いのでしょうか?
本アート作品は、インターネットは現実とは違うコミュニケーションの性質を持つことを示唆しており、両者の間には大きな隔りがあることを伝えようとしている気がします。

まとめ【NEXT NEW NORMAL】

世界中の近未来アート作品の中には一見無謀に見えるようなものもあります。
日々の仕事で凝り固まった脳をほぐし未来を想像するような、まるで思考実験の場をアート作品は提供してくれているのではないでしょうか?

もしかしたら、美術館は所蔵品を所蔵・公開するだけの場所ではなくなってきているのではないでしょうか。過去ではなく、未来を見据えるためのプラットホームとして進化しているのです。

最先端の技術と人間がともに形作っていくこれからのニューノーマルな社会は、人間のクリエイティブなアート的思考がなければ成り立たないということを、世界中の芸術家たちは表現しているのかもしれません。

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