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レジ袋有料化 効果なし?2020.12.28

レジ袋有料化 効果なし?
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2020年7月1日から日本全国の小売店でプラスチック製レジ袋の有料化が義務付けけられました。

これまで無料で利用していたレジ袋はスーパーやコンビニなどで2円~5円で販売されるようになりました。

今回なぜ政府がレジ袋の有料化を全国区で適用しようとしたのでしょうか。
実は欧州のスーパーではレジ袋は有料であることは当たり前で、国内の一部のスーパーでも有料でした。

レジ袋有料化は環境問題を考えた場合、必要な措置であると評価する声が上がる一方、実質的には意味がないとの指摘もあるようです。
レジ袋の有料化は環境問題にどれほどの効果があったのでしょうか。

なぜレジ袋が有料化されたのか

欧州を中心とした先進各国では脱石油の動きが活発になっています。
脱石油はかつては夢物語と言われてきましたが、太陽光パネルのコストが下がったことや、ITを使って効率良く電力管理する技術が整ったことから、実現可能な領域にまで技術が進歩しました。

プラスチック容器やレジ袋といった石油由来の資源のみならず、発電目的での利用など、あらゆる分野において脱石油を進めるというのが国際社会の流れで、これに日本も追随したため、まず初めにレジ袋を有料化したというわけです。

レジ袋有料化でどのような影響があったのか

レジ袋が有料で販売されるようになって、実際にどのような影響があったのでしょうか。
スーパーで実際にアルバイトをしている僕が感じたことも踏まえて、この制度が施行されてから起こった出来事をまとめました。

ごみ袋の購入が促進される

今までレジ袋はスーパーやコンビニで無料で入手することができていました。
これらのレジ袋は主にゴミ袋として消費者に利用されていました。
その利便性から、生ごみ用の袋に活用している家庭は多いと思います。

今まで利用していた便利なレジ袋が有料となると、代替品を探さなくてはいけなくなります。

確かに僕の働くスーパーでも、レジ袋の有料化から店頭でレジ袋を断る人が大多数になりました。
しかしそれと同時に50枚入りのポリ袋などを購入する人の数も激増し、一時多くのお店からポリ袋が消えたこともありました。

マイバッグが環境にやさしいは嘘?

レジ袋有料化に伴いマイバッグを持参される方や購入する人が激増しました。

しかし、レジ袋とマイバッグの1枚あたりのCO2排出量を算出・比較した日本LCA学会の研究発表会における報告によると「買い物回数50回未満ではレジ袋より負荷が大きいが、それ以降では常にレジ袋よりも小さいCO2排出量で買い物をすることができる」といいます。

つまり、マイバッグで地球環境に貢献するならば、50回以上繰り返し使うことが前提となります。
ですが、新型コロナ禍では、買い物袋を清潔に保つことも求められ、100均でも手軽に購入できる低単価のマイバッグを、使い捨て感覚で買う人もいるようですし、
ひとつのバッグを長く使うという意識は国民にそこまで浸透していないように思います。

そしてこの状況下において、ヒット商品を探し求めてる各企業もこぞってエコバッグ・マイバッグの生産を始めました。
その為スーパーやコンビニのみならず、どこに行ってもマイバッグコーナーが設置され、店舗もあらゆる種類のマイバッグを仕入れました。

実際に僕の働いているスーパーでも、3月~4月頃、コロナウイルスが流行し始めた時はマイバックの売れ行きが好調で、大量に発注をしました。
しかしそこから売れ行きは低迷、大量の在庫を抱えてしまう問題が発生しました。
他の店舗でも同じような状況に陥っていたそうです。

このような事態が起こってしまうと、結果的にレジ袋を利用するよりも環境負荷が大きいことになってしまいますね。

レジ袋有料化の抜け道

バイオマス素材を25%以上使ったレジ袋は無料配布可能です。
バイオマス(動植物に由来する有機物)プラスチックは、原油、石油ガス、可燃性天然ガス、石炭を除いた資源から作られているが、25%程度では自然に分解されるものではありません。

他にも、海洋性分解性プラスチックの配合率が100%のレジ袋は無料で提供されます。
海の中で本当にすべて分解されるのか、分解されたとしても何年、何十年で分解されるのかわかっていないので環境問題解決の糸口としては微妙なところです。

大手飲食店などはレジ袋有料化に伴いこの抜け道を使って、今まで通り無料で袋を提供しています。

以上の事から、レジ袋を有料化しても、その消費量はほとんど変わらないという事がうかがえます。
そしてマイバッグの使用の仕方によってはレジ袋よりも環境への負担が大きいこともあり、マイバッグの使用量が増えたことが環境問題にとって良いことか悪いことなのかは非常に微妙なところだという事です。
簡単な基準をクリアさえすれば変わらず無料で提供できるレジ袋もあり、この制度はどこまで意味があったのか疑問視されています。

レジ袋が環境に与える影響

レジ袋をなくせば、その分だけプラスチックごみを減らすことができますが、海洋プラスチックごみのうちレジ袋が占める割合はわずか0.3%しかなく、ペットボトル(12.7%)などと比較するとゼロに近いというのが実状です。
本当に海洋プラスチックごみをなくすことを目的にするのであれば、ペットボトルへの対策が必須となります。
しかしペットボトルを廃止するなどの声はあまり聞こえてきません。

また、レジ袋は環境負荷が小さいという特徴もあります。
レジ袋はポリエチレンから出来ていますが、ポリエチレンは石油精製時に必ず発生する副産物なので、レジ袋を使わなくても産出されてしまいます。
もともと捨てるはずだったものですから、石油由来の素材を使ったマイバッグなどを使ってしまうと、逆に石油の消費が増える可能性もあります。

日本人一人あたりのプラスチックごみ排出量は、アメリカに次いで世界で二番目に多いといわれています。

ここまでの流れを見ていくと、レジ袋の有料化程度では何も変わらないように思います。

しかし、経済産業省のホームページには、「私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすること」がレジ袋有料化の目的なのだと書かれています。
たとえレジ袋有料化が環境に与える影響が少なくても普段の生活の中で、国民に環境への意識を向けさせることができていれば、効果はあったと言えるのではないでしょうか。

まとめ【NEXT NEW NORMAL】

皆さんは鼻にプラスチックストローが刺さってしまっているウミガメの動画や、漁の際に使われる網に絡まって座礁してしまったクジラの動画を見たことがありますか?

僕はその苦しんでいるウミガメやクジラの動画を見て、とてもショックを受けました。
メディアはあまり海洋プラスチック問題のことを取り上げませんが、私たちが便利な暮らしをしている裏側で地球環境が汚染されて行っていることをもっと報道し現状を知ってもらうべきだと強く思いました。
人間によって行われている環境汚染は、皆さんが想像するよりも格段に悲惨なものです。

確かに、レジ袋はペットボトルなどのほかのプラスチックごみと比べると微々たるもので環境への影響は少ないものです。
レジ袋の有料化は直接、環境問題に結びついているとはいえません。

しかし、政府のレジ袋有料化の本当の目的は
「一人ひとりの生活を見直す」ことでした。

忘れてほしくないのですが、環境問題は地球上に住んでいるすべての人が取り組まないと解決できない問題です。

レジ袋有料化をきっかけに、国民一人一人が環境問題へ意識を向け、レジ袋より環境負荷が大きいプラスチック容器やプラスチックストローなどの改善にも取り組むことができれば、持続可能な社会に一歩近づくことができます。

その社会を作っていくことができて初めて、今回の施策は成功だったと言えるのではないでしょうか。

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文:sakata

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