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老後資金2000万円時代の生き方2020.10.21

老後資金2000万円時代の生き方
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「老後資金2000万円」

金融庁が2019年6月3日に公表した金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の内容が世間的に大きく取り上げられ、話題になりました。

金融庁の報告書によると老後2000万円は以下の前提のもと算出されています。

夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職である。
30年後(夫95歳、妻90歳)まで夫婦ともに健在である。
その間の家計収支がずっと毎月5.5万円の赤字※である。
※総務省「家計調査」(2017年)における高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の平均。

これをもとに計算すると、

月5.5万円 × 12か月 × 30年 = 1980万円

老後30年間で約2000万円不足するというわけです。

それでは、老後までにいくら貯蓄すれば安心できるのでしょうか?

はじめに老後資金に2000万円が必要と言いましたが、
60歳で定年退職してから年金受給開始年齢の65歳までの5年間の生活費。65歳以降の毎年の赤字額。
その他突発的な支出を合計すると約3,000万円にも上ります。

では、現状この赤字額に対して高齢者はどのように対処しているのかというと、次の事実から推測できます。

2017年の高齢夫婦無職世帯の平均純貯蓄額*2,484万円
2017年の定年退職者の退職給付額は平均で1,700万円~2,000万円程度
*純貯蓄額=貯蓄現在高−負債現在高

人それぞれのライフスタイルにも起因するのですが、簡単に見積もって2000~3000万円ものお金を定年退職後の20~30年の間に消費するということが統計上推測されます。

今までは年金と会社からの退職金で、大半の家庭は何も特別な資金形成をしなくても暮らせていけました。

なのでお年寄りの方々がこのような報告書に向って「年金が生活するのに不十分?」と思うことはごもっともです。

しかしこれからの時代は、このように特別な対策をしなくても普通の生活を送れるとは限りません。

考えられる理由としては3つ。

1.日本の平均寿命の増加

上記の計算では90歳まで生きる前提に計算をしていますが、「自分は90歳まで生きないと思うから大丈夫だろう」といった軽率な考えをしていてはいけません。

厚生労働省のまとめによると、2019年日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳となり、女性は7年連続、男性が8年連続で過去最高を更新しました。1989年の女性81.77歳、男性75.91歳からはそれぞれは5年半以上寿命が延びており、これは日本の公衆衛生の改善、医療分野で技術革新が進んでいることに加えて、高齢者の健康意識の高まりも影響していると考えられます。

加えて、2019年に生まれた人のうち、75歳まで生存する人の割合は女性は88.2%、男性が75.8%。90歳まで生存する人は女性51.1%、男性27.2%でいずれも過去最高を更新しました。

世界と比べてみても日本は男性では世界基準で見ると香港、スイスに続き、第3番目、女性もやはり香港に次いで世界第2位。日本人は思ったよりも長寿化が進んでいます。

このことから、自分は関係ないと思わず「人生100年時代」であることを受け止め、老後の生活設計を立てる必要があるのです。

2.退職金の減少

現状、日本企業の退職金は以前よりも大幅に減少しています。

退職金は、老後生活を支える重要なお金として昔から位置づけられてきました。

その退職金が、ピーク時の20年前と比べて1,000万円以上も減っています。

厚生労働省によると、定年退職者の平均退職給付額は、1997年の2,871万円をピークに、右肩下がりとなっています。

そう、たった20年で1,000万円も退職金が減っているのです。

1997年から約5年ごとの退職金の平均の推移は、以下のようになっています。

・1997年……2,871万円
・2003年……2,499万円
・2008年……2,280万円
・2013年……1,941万円
・2018年……1,788万円

見ての通り、確かに日本で退職金の大幅な減少が起こっているわけです。

マイナス金利政策などによって日本企業の積立資金が厳しい状況になっていることがきっかけで
・年功型退職金から成果主義型退職金制度に移行
・企業年金の積立不足による減額給付の拡大
・財務リスク回避による確定拠出年金への移行
など退職金制度が大幅に見直されたことが、今日の退職金の減額につながっているのでしょう。

加えて、近年は新卒から生涯一つの企業に勤めあげるといった働き方をする人は減少傾向にあります。
何回も転職したりすると、その企業からもらえる退職金は少なくなります。

また、非正規雇用の拡大によって退職金がもらえない人は今後拡大していくでしょう。

つい先日非正規雇用者のボーナス・退職金に関する裁判で

「非正規従業員に賞与や退職金が支払われなかったことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、不支給を「不合理とまでは評価できない」との判断を示した。いずれも二審の高裁判決は一定額を支払うべきだとしていた。原告側の逆転敗訴が確定した。」

このような事例は今後も多数発生することが予想されます。

3.年金制度への不安

「このまま少子高齢化が進むと、将来年金制度が破綻する」

などと一部の人が言っている通り、現役世代の人たちは年金制度に不安を抱える人は少なくないと思います。

結論から言いますと、日本の年金制度はそう簡単には破綻しません。

しかし、今の年金受給者ほどの金額がもらえることはないと予想されます。

年金がもらえたとしても給付金額の減額は覚悟しなければいけません。

給付金額の詳しい決まり方は、長くなるのでここでは割愛しますが、インフレや給与水準の上昇によって金額的には増加しても、実質価値は下がっていることが予想されます。
少子高齢化や長寿化に伴い仕方がないことですが、これまでの世代よりも、これからの世代のほうが苦しくなることは確実です。

平均では高齢夫婦無職世帯の平均純貯蓄額は2,484万円となっていますが、この数字は一部の高所得者がかなり引き上げています。
なので世間一般の世帯で、老後資金が2000万円も残っていることはほとんどないのではないでしょうか。

ではどのようにして老後資金を形成すればいいのでしょうか?

1.厚生年金に加入する

厚生年金をもらうことで年金額は大きく増えます。パートで扶養内で働いているケースは、勤務時間を増やして社会保険に加入することで、給料が増えるだけでなく、もらえる年金額も増えます。
社会保険料は「労使折半」なので、企業が半分を負担してくれることもありがたいのでぜひ加入したほうがいいでしょう。

2.繰り下げ受給をする

年金をもらい始めるタイミングを遅らせることで年金額を増やすことができます。これを老齢年金の繰り下げ受給と言います。
本来65歳からもらえる年金を70歳まで受給を待つと42%増額されます。
ただ長生きをしないと総額的には不利になってしまうので注意しましょう。

3.ライフプランを見直す

想定したライフプランにおける自分が望む生活水準に対して、必要となる資産や収入が足りないと予想される場合は、状況に応じて、就労継続の模索、支出の再点検・削減、保有する資産を活用した資産形成・運用をしましょう。

4.私的年金で資産運用する

私的年金をプラスすることで、老後の経済的な不安はかなり解消できるはずです。私的年金は積み立て方式なので、早くから始めて、コツコツと積み立てていけば、必ずまとまった老後資金が貯まります。国が後押ししているiDeCoつみたてNISAを利用すれば効率よく老後資金を貯めることができるでしょう。

まとめ【NEXT NEW NORMAL】

以上のことを早いうちから始めることで、自分で老後資金をためてしまうということが、老後資金2000万円必要の解決策になると思います。

日本では終身雇用制度の衰退や退職金の減少が進んできています。
加えて年金額の低下をはじめとした、国からの老後資金の援助も今までと比べると少なくなっていくことが予想されます。

これからは今までとは違い、早めに老後資金を見据えて、ライフプランを見直していくことが大切になってくるでしょう。

文:sakata

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